自力で健康を目指す天邪鬼

自力で健康を目指す天邪鬼

健康な生体は秩序化されたもの。部分でなく全体をみるホリスティックな視点で健康情報をお届けします。

自然療法的な血管年齢若返りの方法

血管年齢、すなわち血管の柔軟性って個人的に関心があるんです。

というのも、家系的に心臓・血管系に問題が出やすいようで、亡くなった祖母と父は高血圧だったし、叔父は心臓の病で長く苦しんでいました。

私も過去に発作的に血圧が急上昇したことがあり、それを考えると大事に至らぬよう血管を柔らかくしておく必要があるな、と思うわけです。

体を柔らかくすると血管も柔らかくなる?

さて、エラスチンって聞いたことありますか?
女性は美容に関心があるので、ご存知の方もいるかもしれません。
 
エラスチンは、体の弾力性がある部分にたくさん存在しているタンパク質。
体の弾力性がある部分とは、例えば、肌・筋肉・じん帯・血管などです。
 
このエラスチンが伸び縮みすることで、弾力性が出ています。
このことから、ある仮説を立てることができます。
 
それは、体が硬いと血管も硬いということです。
 
硬いということは、正常なエラスチンが少ないということです。
筋肉やじん帯が硬いと、関節の可動域が小さくなり、体が硬いことになります。


「柔軟性と動脈硬化の関係性」について調べた研究者がいます。
柔軟性は、どれくらい前屈できるかを測定。
動脈硬化は、PWV検査といって、脈の伝わる速さを測定。

PWVとは、心臓から押し出された血液の拍動が動脈を伝わっていく速度です。
血管壁が硬く厚いほど、脈が血管壁で吸収されず、速くなります。

この2つの関係性を調査しグラフ化したところ、傾向が出てきたそうです。
横軸に前屈できた距離、縦軸に脈の伝わる速さをとります。
グラフの右側ほど体が柔らかいし、上側ほど動脈が硬いことになります。

さらに、Young(20~39歳)、Middle(40~59歳)、Older(60~83歳)の別に
被験者526人で調査されました。
 
グラフにプロットした結果、以下の傾向があることが確認されました。
・若い時(Young)は、全体的に下側にプロットされている → 血管が柔らかい
・年をとるにつれ(Middle, Older)、全体的に上側に集まっている → 血管が硬い
 
この結果は、言われるまでもなく、常識ですね。

ここで注目したいことは、中高年(Middle, Older)ほど、柔軟性と血管の硬さの関係性が顕著になっていることです。さらに Young → Middle → Older と年をとるにつれ
プロットの中に引かれている平均線が右下がりとなり、傾きも大きくなります。

これは、若い時は
 「体が硬い・柔らいに関係なく、血管は概ね柔らかい」
中高年では
 「体が柔らかいほど血管も柔らかい」
 「体が硬いほど血管も硬い」
ということを示しています。
年をとるほど、体が柔らかい方が良いということです。

持久系アスリートや日常的にウォーキングを行う人は、経験的に動脈硬化が少ないことが分かっているそうです。運動する人は運動しない人より体が柔らかいというのは、
これまた、言われるほどのこともないですね。

動物実験ではありますが、運動によりエラスチンが増加し、カルシウム沈着による変性が抑えられたとの報告があります。

運動不足の人は顔がたるみやすいそうですが、エラスチンが少ないのかもしれません。
 
また、今回の報告をした研究者は、次のように述べています。
ストレッチは、一時的には交感神経を興奮させるが、長期的にはその活動を低下させて血管緊張を解き、動脈硬化を改善する
 
運動はもしかしたら環境により実践できないことがあるかもしれませんが、ストレッチはどこでもできますね。

温冷浴が血管を若返らせる?

温冷浴とは、2つのバスタブを用意し、それぞれに温水と冷水を満たし、
交互に浸かる入浴法です。

2つ用意できなければ、特大のポリタンクやシャワーで代用します。
また、湯温をはかる為の温度計と、浸かっている時間を計るための砂時計(1分間)も準備します。

温水は40~42℃、冷水は15℃前後とします。
冷→温→冷→温→冷→温→冷
のように冷・温それぞれ1分ずつ交互に浸かります。


これが身体にどのように影響するか。

冷浴では交感神経が優位となり、血管が硬くなります。
温浴では副交感神経が優位となり、血管が緩みます。
これを繰り返すことで、血管壁の柔軟性UPにつながるでしょう。

真冬になってから温冷浴を始めるのは、かなり辛いです。
私は初めて温冷浴にチャレンジしたときは夏でしたが、そのときでさえ、冷浴の冷たさに強く身震いしました。一度始めれば最初の一週間は辛いけど、慣れてきます。そして真冬でも実践できるようになります。

温冷浴は血管年齢を若返らせるだけでなく、根本的な体質改善、特に冷え性改善につながります。2008年に105歳でお亡くなりになった医学博士の塩谷信男さんは数十年間、どんなに冬の寒い日であっても、起床時と風呂上がりに、頭から水をかぶっていたそうです。私自身、もともと冷え性で、冬は足先が冷たくて寝付くまでに相当時間がかかっていたのですが、温冷浴のおかげでだいぶ改善されました。ちなみに、福岡に一風変わった病院があり、そこには癌患者など重症の患者が多く入院しているのですが、温冷浴は日課となっています。

ご老人や循環器系に問題ある場合は控えた方が良いかもしれませんが、それ以外の方は検討されてみては如何でしょうか。

いきなりの温冷浴はつらいし抵抗があるということであれば、足だけ温冷浴をするのも良いです。これなら簡単です。インターネットで「足湯」で検索して専用のバケツを買って使うと良いです。1,000円以内で買えます。

また、大気浴療法といって、「裸になる→布団にくるまる」ということを繰り返す方法もあります。本来の目的は温冷浴とは異なりますが、やはり寒暖の変化を感じさせることで類似の効果が期待できます。