握力は将来の健康の指標だ!・・・でも握力だけ鍛えてもダメですよ
昨年2018年5月、英国グラスゴー大学より、握力と病気リスクについての研究成果が発表されました。内容は以下のとおりです。
【 対象 】
40~69歳の地域住民の約50万人
【 期間 】
2007年4月~2010年12月
【 内容 】
握力が5キログラム低下するごとに、全死亡(何らかの原因による死亡)は20%、心血管疾患による死亡は19%、呼吸器疾患による死亡は31%、がんによる死亡は17%増え、特に若い人でこの関係が強く見られた。
また、筋力低下(握力が男性で26キログラム以下、女性で16キログラム以下)が明らかな人では、心血管疾患や呼吸器疾患、がんの発症率や死亡率が軒並み高くなっていた。
(2018.8.31 産経新聞のオンライン記事より抜粋引用)
つまり、握力は血圧に勝るとも劣らない将来の病気や死亡の指標といえる結果であった・・・ということです。たしかに、握力が健康に大いに関係していることが、いくつもの研究で示されています。
・中年期から後期にかけての握力の大幅な低下が、後期期の認知症発症の重要な指標であることが示唆された。(九州大学 2019年)
・思春期を迎える前に握力が弱い子どもは、握力が強い子どもに比べて糖尿病や心疾患などの健康問題を抱えるリスクが高いことが、新たな研究で示唆された。(米ベイラー医科大学 2018年)
・筋力を測定する「握力」と、バランス能力を測定する「閉眼片足立ち」のテスト成績が悪いと、2型糖尿病のリスクが上昇することが明らかになった。(東北大学 2018年)
・握力が低下すると心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇、最高血圧よりも握力の方が、早死に関する有意な予測因子である可能性が示唆された。(マクマスター大学 2015年)
ただし、これらの研究では、単に相関関係が示されただけであって、因果関係があるかどうかは不明です。
①握力が強い人はもともと健康な人が多かった
②日頃から運動などで健康に気を使っている人は握力が強かった
③病気がち、または、もともと体の弱い人は握力が弱い
ということも考えられます。ですから、このような研究結果が出ているからといって、握力だけを鍛えるというのは早計でしょう。握力は全身の筋力のひとつの指標と考え、全身の筋力維持・UPを目指しましょう。健康でいられるよう何かに取り組んだ結果、握力が低下していなかった・・・という考え方が良いです。
握力の測定方法と平均値
下表は、文部科学省のサイトより取得した2017年度の握力の平均値データです。単位はkgです。20代から50代の間は、だいたい同じですね。
年齢 | 男子 | 女子 | 年齢 | 男子 | 女子 | |
6 | 9.36 | 8.79 | 20-24 | 46.38 | 28.16 | |
7 | 11.10 | 10.42 | 25-29 | 47.03 | 28.38 | |
8 | 13.08 | 12.31 | 30-34 | 47.50 | 28.77 | |
9 | 14.90 | 14.13 | 35-39 | 47.31 | 29.17 | |
10 | 16.90 | 16.71 | 40-44 | 46.95 | 29.24 | |
11 | 20.02 | 19.58 | 45-49 | 46.70 | 29.09 | |
12 | 24.07 | 21.71 | 50-54 | 45.79 | 28.29 | |
13 | 29.75 | 24.22 | 55-59 | 44.93 | 27.61 | |
14 | 34.90 | 25.59 | 60-64 | 43.17 | 26.56 | |
15 | 37.19 | 25.44 | 65-69 | 40.19 | 25.28 | |
16 | 40.15 | 26.31 | 70-74 | 38.06 | 23.86 | |
17 | 42.05 | 26.81 | 75-79 | 35.74 | 22.78 | |
18 | 40.98 | 26.57 | ||||
19 | 41.77 | 26.47 |
直立姿勢で握力計を握り、人差し指の第2関節が90度になるように調整します。測定する際に握力計を振り回したり、衣類や身体についてしまうのはNG。腕を自然に下げた状態で測定を行います。
文部科学省「新体力テスト実施要項」では、握力は1.右、2.左、3.右、4.左の順に行うことになっています。筋疲労の影響をなくすため、必ず左右交互に行います。また2回連続で同じ者が測定しないようにします。1人のみで測定している場合は、1回目と2回目の間に休憩をはさみます。
悲しい結果に衝撃を受ける。。
さっそく握力計を入手しました。デジタル式で、2000円ほどの超安物です。アナログ式の方が使い勝手が良さそうでしたが、値段が高めでした。まぁ、最初はおもちゃ感覚でイイかなと思ってこれを買いました。
Sutekus 正規品 握力体力測定用デジタル握力計 ブルー |
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届いた商品の箱を開けてみると、本体と1枚ペラの説明書のみのシンプルさ。電池は最初から装着されています。箱は割としっかりしていて、保管上も問題なし。説明書には性別・年齢の登録とかデータ保存方法とか記されているけど、無視していきなり測定しても全然OK。記録はExcelや紙のメモに書くのが良いです。グリップにダイヤルが付いていて、握る位置を調節できます。私にはこれで十分です。
測ってみた結果は、右が43kgほど、左が41kgほどでした。私は男性で年齢は45-49なので、平均値は46.70kgです。60代と同レベルという結果が悲しすぎる。。
おわりに
握力を測るのは高校生の時以来で約30年ぶりでしたが、当時は55kgほどありました。野球部で鍛えていたこともあって、人並み以上の体力の持ち主でした。その後は草野球をしたりトレーニングジムに通うこともありましたが、それも止めてしまい15年くらい経ちます。今回の結果は、体力作りを決意するための良いきっかけとなりました。
体重計はもちろん、血圧計も広く普及していますが、握力計も一家に一台あると良いのではないでしょうか。