自力で健康を目指す天邪鬼

自力で健康を目指す天邪鬼

健康な生体は秩序化されたもの。部分でなく全体をみるホリスティックな視点で健康情報をお届けします。

風邪・インフルエンザの自然療法的対策とは・・・何もしないこと!(笑)

 巷ではインフルエンザが流行しているようです。私は長くワクチン接種などしていないのですが、たぶん15年くらいはインフルエンザに罹っていません。時々、ちょっとした発熱・喉の痛みが出ることはありますが、すぐに治っちゃいます。

 野口 晴哉(故人)さんという整体の先生は、「風邪は自然の健康法である。風邪は治すべきものではない、経過するものである。自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいた後は、あたかも蛇が脱皮するように新鮮な体になる」と言っています。私個人の経験でも、これは真実だと思います。風邪・インフルに罹ることでさらに自然治癒力が高まると思いますし、治った後は爽快感すら感じます。

風邪の効用 (ちくま文庫)
Amazonで探す

 この記事では、「解熱剤を飲まない・食事量を減らす」ということを説きますが、すなわちこれは「何もしない」ということです。これで生まれながらに持っている自然治癒力を最大限に発揮できます。

解熱剤は飲まない

 風邪・インフルエンザになったときの発熱って、病原体であるウイルスや菌が起こしていると思いますか? いえいえ、そうではありません。ご自身の免疫力が治癒させようとして、身体が自発的に発生させているんです。発熱することで、病原菌の増殖が抑制され、白血球の活動が活発になり、免疫応答が促進されるのです。

 発熱がどのような仕組みで起こっているかというと、

① ウイルスや菌などの病原体が、体内に侵入してきた。

② 白血球がこれに反応し、炎症を引き起こす化学物質(炎症性サイトカイン)が出る。

③ 炎症性サイトカインが、体温調節中枢のある脳の視床下部に向かう。

④ 炎症性サイトカインは血液脳関門を通過できないので、発熱の仲介をするプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を促してバトンタッチ。PGE2が視床下部に運ばれる。

⑤ PGE2が視床下部に達すると、体温のセットポイントを上昇させ、体温上昇に導くよう指令が伝わる。

⑥ 交感神経が活発に働き脂肪細胞などの代謝が亢進、また、運動神経が活発に働き骨格筋のふるえ、等が生じて熱を生み出す。一方で、皮膚表面の血流を少なくしたりして皮膚からの熱発散を防ぐ。

 ・・・と、このようになっています。このような自然治癒に導くための仕組みが、太古からの気の遠くなる年月を経てできあがっているのです。

 そこで解熱剤についてですが、その多くは、プロスタグランジンE2(PGE2)の合成を抑制するそうです。PGE2が作られないので、体温調節中枢の体温セットポイントが上がらず、結果として種々の体温を上げるための活動が生じません。発熱しないので病原体との戦いが長期戦となり、治癒が遅れてしまいます。

 発熱は生体防御反応なので、積極的に下げる必要は無いのです。だから熱が高く出る人は・・・自然治癒力が高いともいう側面もあるのです。重篤なご病気の方をのぞき、風邪をひいたら、休息をしてうまく発熱いたしましょう。

基本は少食で、タンパク質は避ける

 過去にインフルエンザや風邪で調子が悪くなった時のこと、思い出してみてください。 食欲が旺盛だったでしょうか?  そんなことは無いと思います。少なくとも私は、積極的に何かを食べたいという気になったことはありません。

 ほとんどの動物も、病気になると食事をせずじっと休んでいるそうです。 本能的に食欲不振が作動しているのでしょう。それは休息をして治癒に向けて余分なエネルギーを使うなよ!!・・・というメッセージのようにも受け止められます。

 本能が消化作業よりもウィルスとの戦いに注力させているのです。

 飢えは生命の危機です。そんな時は脳幹が強くはたくことで、生命力がフルに発揮されます。余談ですが、おそらく怪我をしたときに断食すると、同じ理屈で治りが早くなると思います。

 ということで、食事の量を減らすこと、もっと言えば、肉・魚・大豆などのタンパク質を豊富に含む食材を避けることです。タンパク質をとりすぎると、腸で吸収されずに留まってしまいます。特に動物性タンパク質は腸内に残りやすく、一旦消化不良が起こると、体内の酵素が大量に消化作業にまわされます。生命力が、ウィルスとの戦いに専念できなくなってしまいます。

おわりに

 私はちょっと熱っぽい・喉が痛い・・・という程度では、病院にかかることはしません。自力で治すことを習慣として行っていくと、身体の持つ免疫機能の能力を養成することにつながります。使わない能力はどんどん退化していきます。

 睡眠時間もしっかり確保してください。通常は3~4日ほど経てば回復傾向が見られると思いますが、その気配がなければ病院にかかるのが良いでしょう。私は過去に肺炎になったときに、一旦熱が下がって治ったと思ったら再び高熱になる、これを2~3回繰り返すことがありました。いつもと違うなと思ったら、無理せず病院に行きましょう。