自力で健康を目指す天邪鬼

自力で健康を目指す天邪鬼

健康な生体は秩序化されたもの。部分でなく全体をみるホリスティックな視点で健康情報をお届けします。

カルシウム・コラーゲンを摂るだけでは骨は丈夫にならない

先日、Youtubeで空手の動画を視聴していました。
レーニングの中で、野球のバットで脚のスネを叩いているシーンが出てきました。
打撃に耐えられるような強靭な肉体を作ることが目的だそうです。

実はこのトレーニング、骨の鍛錬だけでなく、健康面でも素晴らしい効果が期待できると思います。

骨を丈夫にするためにカルシウムやコラーゲンをたくさん摂ろう・・・ってよく言われるけど、それだけでは全く不十分で片手落ちです。

寝たきりの人・入院患者や骨粗鬆症の人に、カルシウムをたくさん摂ってもらえば、骨が丈夫になるというのでしょうか? 骨密度が低い人は、すべてカルシウム不足が原因だったと言い切れるのでしょうか?

骨の役割

骨の役割って何?・・・と聞かれると、一般的には「体を支える」と答えることが多いと思います。それはそうなのですが、もう少し考えると、血をつくるとか、カルシウムを貯めるということも、思いつくでしょう。

しかしそれだけではなく、健康を考える上で重要な役割を担っていることがわかってきています。それは、若返り物質を出していることです。

基本的には、若いほど自然治癒力は高いです。子供は風邪をひいてもすぐ治りますよね。怪我をしても治りが早いし、筋肉痛もすぐ治ります。生体として、元の秩序立った状態に戻そうとする働きが強いです。

記憶力・免疫力・精力・筋力といった若さを司る臓器が骨なのです。

骨の不調をもたらす要因

骨が体を支えているのなら、その支える能力が劣化することになります。
よく知られていますが、骨がスカスカになる骨粗鬆症になると骨折リスクが高まります。さらには自然治癒力が低下することも推測されます。

ところで、セダンタリー・デス・シンドロームってご存知でしょうか?
セダンタリーとは「座りがちなこと」です。
それが死につながる可能性あることを警告する言葉です。

オーストラリアで、45歳以上の成人の座位時間と死亡リスクの関係性が調査されました。その結果、1日の総座位時間が11時間以上になると、4時間未満に比べて総死亡リスクが1.40倍高くなることがわかったとのことです。

30分以上連続して座り続けることで、糖尿病、高血圧、脳梗塞、心疾患、がん、さらにはうつ病認知症などあらゆる病のリスクがぐっと高まると述べていました。血流が滞ることで代謝機能が低下することが原因としていましたが、それだけではなく、私は骨も関係していると思います。

今年の初頭に、体内体重計の存在が明らかになったとの報告がありました。体内時計はよく聞きますが、時計だけでなく体重計も自前で持っていたのです。両脚が体重を支えている時間が少ないと、脳には正確な体重が伝わらず、体重を減らすためのメカニズムが正確に作動しません。座りがちであることは、極論すれば、自ら体を支えることを放棄しているようなものです。

さらには、死亡リスクにつながるのは「座っている時間」ではなく「動かない時間」という報告さえあります。その報告では、研究者らは「座っている時間そのものではなく、動かないことが問題であり、座る時間を減らしていても、動かずに立っているだけでは意味がないと考えられる」とコメントしています。

じっとしていることの骨への影響

骨には、古い骨を溶かす破骨細胞と新しい骨をつくる骨芽細胞がいて、新陳代謝を繰り返しています。骨を新しくするとき、破骨細胞が骨を溶かし、次に骨芽細胞が骨をつくっていきます。骨の状態が正常であれば、この溶かす量とつくる量のバランスが取れていることになります。

では、じっとしていると(身体活動が少ないと)、骨にどのような影響があるのでしょうか?

ここで健康的な骨を維持するのに重要なポイントがあります。
それは、骨への衝撃です!

骨に衝撃が加わると、圧電効果(ピエゾ効果)により電気が発生します。これがカルシウムをひきつけ、骨形成につながるのです。また、ここで発生した電気は、骨をつくる骨芽細胞を活性化するとも考えられています。

極論かもしれませんが、これを換言すれば、いくら血中にカルシウムが豊富にあったとしても、骨に衝撃が加わらなければ骨は丈夫にならないということです。

JAXA宇宙航空研究開発機構)によれば、重力の負荷がない宇宙に長期滞在した人の大腿骨の骨密度減少率は、骨粗鬆症患者でも約1年かかって減少する量に匹敵するそうです。宇宙空間での骨への負荷は、寝たきり人以上に小さいものなのでしょう。

骨を鍛えるには

骨に衝撃を与えることをすれば良いわけですが、どのようなものがあるでしょうか。

縄跳び、下駄を履いて歩く、膝を高く上げる水平足踏み運動が良いでしょう。階段を降りるときは一段飛ばすのも、より強い衝撃が加わります。水平足踏み運動は家の中でもできるのが良いです。

スポーツなら、テニス、バスケットボール、ジョギングなど、飛び跳ねるような動きのあるものが良いでしょう。いずれも足腰の骨に刺激を与えます。ただし、膝痛を招くことがあるので、適度に加減してください。

一方、自転車や水泳は、骨を鍛える視点からいうとお勧めできるものではありません。ある番組で紹介されていましたが、20代の自転車選手が、老人並みの骨密度しかなかったことを報告していました。研究者は、自転車競技はサドルの上に長時間座っているようなものだと述べていました。この人は競技者なので、普段のトレーニングでもずっと自転車に乗っていて、結果、骨への刺激がほとんどなかったというわけです。

水泳についてですが、それが骨密度UPに寄与するという報告が、一応あります。ただしその調査の被験者数が水泳実施者22名、対照者が19名と少なすぎます。誤差が大きく出た可能性も十分考えられます。

水泳は心肺機能・筋力UPには有効ですが、骨密度 UPするかは懐疑的です。水の中に浮いてじっとしている時には、重力から解放され、骨にも刺激が加わりません。ぜひ、骨を刺激するような運動も併用したいところです。

余談ですが、がんの骨転移の自然療法的な対策として、骨転移している患部をトントンと叩く方法があります。骨転移では、ガン細胞が破骨細胞に働きかけて骨をとかし、そこにガン細胞が侵入します。叩いて刺激を与えることで骨芽細胞を働かせて骨を積極的に作らせ、ガン細胞の増殖余地を減らすわけです。

おわりに

カルシウムやコラーゲンなど、骨の材料が豊富にあったとしても、骨を作るための起爆剤とも言える「衝撃」を与えないことには、骨が丈夫になりません。

骨に衝撃を与える必要があります!
衝撃が電気を産み、カルシウムを引きつけ、骨芽細胞を活性化させます!

まずは、よく歩きましょう。しかも日光の下でです。
日光に当たると体の中でビタミンDができます。ビタミンDは、食べ物に含まれるカルシウムを血液中に取り込みやすくするよう働きます。

近くの公園でお日様に当たりながら早朝ウォーキングでもやっていれば、骨密度UP、ひいては自然治癒力UPにつながると思いますよ。