自力で健康を目指す天邪鬼

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健康な生体は秩序化されたもの。部分でなく全体をみるホリスティックな視点で健康情報をお届けします。

自然治癒力を高める方法2・・・脳幹の鍛錬

自然治癒力を司る脳幹とは

自然治癒力とは
外科的に異常箇所を除いたり、薬剤で直接的に異常細胞を殺すのではなく
身体が生まれながらに備えている機能であり、身体に一時的に異常が生じても
しばらくすると正常な状態に戻すようにする力です。
(非常に抽象的な表現ですが)

その自然治癒力のコントロールセンターが脳幹です。

脳幹は、脳の最も奥深くにあります。
人間的な思考は、脳幹の外側にある大脳で行われますが、
脳幹は、生きていくのに必要な本能を司っています。

脳幹は、無意識下で機能している脳領域です。
例えば体温調整、外界の気温が変わろうとも体温を一定に保つ働きは
無意識のうちに行われます。

呼吸も通常は意識せずに行われています。
食べ物を消化するのも無意識です。
傷を負ったら化膿してかさぶたになって元に戻る・・・これも無意識です。
転びそうになったら体勢を立て直す・・・無意識です。
便が溜まったら便意をもよおすのも無意識です。
喧嘩しそうな緊張状態になったら、筋肉の働きを高めるのも無意識です。

これら身体の無意識的な働きは脳幹によりコントロールされ、
生命維持に直結しています。

脳幹が適切な指令を出していれば、健康な状態が保たれます。
つまり、病気になりにくい状態が維持されるのです。

逆に言えば、自然治癒力がイマイチ働かず
病気(生活習慣病)になってもなかなか治らないのは
脳幹が衰えていると言えます。

脳幹が衰えるのはなぜ?

なぜ衰えることがあるのでしょうか。
野生の動物と、先進国の人間のライフスタイルを比較すれば
その原因を推測することができます。

野生の動物は、人間のような理性的・論理的思考でもって行動しているわけではなく
おおよそ本能(脳幹)に従って行動しています。

野生の動物では病気で死ぬことは少ないと思いますが、
生体維持装置である脳幹がしっかり働いているからでしょう。

一方で先進国の人間は、昔に比べて生活習慣病が増えています。

私は脳幹が衰える原因は以下と考えています。
身体活動の減少
・快適すぎるライフスタイル

「使わざるは退化す」と言う言葉があります。
人間の尾骨はしっぽの名残りで必要なくなったために
退化してなくなったと言われています。

宇宙飛行士は、無重力環境である宇宙船で長く過ごしていると、
通常ではありえなほど骨密度が減っていることがあるそうです。
無重力なので骨への刺激がありません。
骨が丈夫である必要が無いために退化するのでしょう。

身近な例では、長期間の入院生活をした人は
筋力がとても落ちているという話をよく聞きます。

脳幹も同じように考えると、
脳幹をしっかりと働かせる機会が減れば、
衰えてしまうというのは自然の流れです。

脳幹は不快な状況を解消するように身体に指令を出します。
生命維持機能をしっかり働かせるには温い生活はダメで、
時には意図的に生命の危機的状況を作り出す必要があります。
暑い・寒いからと言って空調の効いた部屋でずっと過ごすせば
脳幹が衰えることになるでしょう。

また、先進国の人間は野生の動物に比べて、圧倒的に運動量が少ないでしょう。
デスクワーク中心でずっと座りっぱなしという人も多いです。
農耕・牧畜を始めた人類とは違って、野生の動物は飢餓との戦いでしょう。
エサをとるために動き回っています。

脳幹を鍛える方法

脳幹が鍛えられたかどうかを客観的に評価する尺度はありませんが、
脳幹の働きを考えれば自明です。

◆温冷浴

温冷浴は体温調節中枢のある脳幹を鍛えます。
体温調節中枢には、体温を上げるための中枢と、下げるための中枢があります。
これら互いの司令塔が交互に強く刺激されることで恒常性システムが目まぐるしく働き、過酷な環境でも耐えられるような強い生命力が培われます。

体がすっぽり入るくらいの大きなポリタンクを2個用意し
一方には15℃くらいの冷水、もう一方には42℃くらいの温水をみたし
1分ごとに交互に浸かってください。

冷→温→冷→温→冷→温→冷・・・この流れで7分間となります。
最後は必ず「冷」です。
これで湯冷め・冷え性とは無縁となります。

◆バランストレーニン

不安定な状態でバランスを保つことも一つの方法です。
バランスとる動作は無意識下で行われます。
体勢を崩して転びそうになったら、考える間もなく立て直そうとしますよね。
脳幹、小脳、脊髄でバランス調整が行われています。

木登り・岩登り・綱渡り・サーフィン・トランポリン、いろいろ考えられます。
私のSNSの友達が強く推奨している方法が、海に浮かべた発泡スチロールに乗ることです。上下左右と三次元的な振動に対してバランスを取ることが強く脳幹を刺激するようです。

自宅ならバランスクッションに立つことも良いでしょう。
私は塩ビパイプの上に板を載せて、その上に立ってバランスを取るようトレーニングしています。

もっと飽きないように鍛えたいなら、バランスボードを試すのも良いと思います。
ネットで「バランスボード」で検索すれば、いろいろと出てきます。
あるいはスラックラインといって、綱渡りを競技化したようなものもあります。

◆短息呼吸法

特殊な方法としては、短息呼吸法でも強化できます。
脳幹には呼吸中枢もあります。
短息呼吸法は、意図的に酸欠状態を作ることで脳幹を強化することになります。
 
お腹を引っ込めながら息を強く吐く動作を連続で行います。
ハーッ、ハーッ、ハーッと1分間に100回くらいのスピードです。
吐く息の量を多くするのがポイントです。
めいっぱい吐き出す呼気量を10割とすると、この呼吸法では少なくとも6~7割は出るようにします。
これで意図的に酸欠状態を作り出します。
 
最後の100回目は全部吐ききります。
くらーっとすることもありますが、これが酸欠状態。
しばらくすると、頭の中がじ~んとした日頃味わったことがないような
心地よい感覚になります。

◆オルゴール療法

脳幹 を鍛える別の方法・・・それは五感をフル活用することです。
人工物に囲まれた環境では、五感の刺激が少なすぎます。

例えば音。
森の中は、都会にはない可聴領域外の高周波の音が豊富にあります。
これが聴覚を通して強く脳幹を刺激します。
オルゴール セラピーはこれが狙いです。

オルゴールの生の響きには、
人間の可聴域を遙かに超える音域(高周波・低周波)と音圧が含まれており
脳幹の血流を上げることが分かっています。

私はオルゴールセラピーの体験会に参加したことがあります。
スイスのリュージュ社の72弁、144弁のそれぞれのオルゴールを胸に抱かせてもらいました。
澄んだ音が心地よいですし、振動が強いです。

オルゴールセラピー専用のベッドに横たわって、
しばらくの間、身体全体でオルゴールの音と振動を受けました。
すぐに眠りにつきました(笑)

おわりに

いろいろと述べてきましたが、
脳幹を鍛えることは心身の恒常性を取り戻すための、根本療法です。
病気を根本から改善し、病気に掛からないようにするための
予防医学となるでしょう。