自力で健康を目指す天邪鬼

自力で健康を目指す天邪鬼

健康な生体は秩序化されたもの。部分でなく全体をみるホリスティックな視点で健康情報をお届けします。

免疫力を高めるよりも、細胞周辺環境をきれいにして自然治癒力を高めよう!

インフルエンザが流行る季節になってきました。
対策としてはうがい・手洗いなどが一般的ですが、「免疫力を高めよう」という呼びかけも常識的に行われます。

「免疫力って風邪を引かないための抵抗力みたいなもんでしょ」
たしかにその表現だとあっているように思います。

では、免疫力さえ強ければ、病気や怪我とは無縁になるのでしょうか?
あるいは病気になったり怪我をしても回復が早まるのでしょうか?

それはケースバイケースでしょう。
例えば骨折したとします。
さて、免疫力がしっかり働いて入れば、治癒は早まるのでしょうか?

違いますよね。
免疫系というものは、異物を除去する仕組みですよ。
骨折を治すのに、免疫系が本質的に重要な役割を果たしているとは到底思えません。

もっと抽象的な自然治癒力が治しているのです。
さらに言えば、病気が治るのは自然治癒力のおかげです。
免疫系の働きは、自然治癒の過程でしかありません。

この辺を混同している人がとても多いです。
病気治しのために、一所懸命に免疫を高める方法を調べ実践したとしても、
それが的外れに終わることすらあるでしょう。

がん対策にて免疫力を過信するリスク

免疫系と一言でいってもその仕組みは複雑で容易に理解できませんが、主役となるものは免疫細胞でしょう。免疫細胞にも、マクロファージやリンパ球(B細胞、T細胞など)、その他いろんな種類があり細かく分類されています。

さて、現代の病の代表格といえばがんです。
「がん細胞は毎日数千個できるけど免疫が増殖を抑えている、しかし何らかの理由で増殖が抑えられなくなった状態ががん」「がんの増殖を抑えるために、免疫力を強化しましょう!」ということがよく言われます。

そこで登場する免疫細胞の主役は、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)です。
NK細胞は生まれながらに身体に備わっている自然免疫の重要な役割を担っていると考えられており、単独でがん細胞やウィルスを攻撃します。

しかし、がん細胞はとてもしたたかな生き物で、NK細胞の攻撃を避ける仕組みを持っています。NK細胞ががん細胞を攻撃しようとすると、がん細胞は免疫細胞の一つである制御性T細胞を呼び寄せて、攻撃されないようにガードさせるのです!

免疫をベビーフェイス、がんをヒールと見なすかたにとっては、びっくりすることではないでしょうか(笑)。免疫ががんを守ってくれるわけですから。

これでは免疫細胞を活性化しても、あまり意味がありません。
実際に、免疫を高める代替療法の奏功率は、かなり低いと聞きます。


他にも、がんが免疫細胞の攻撃を免れる仕組みがあります。
リンパ節で活性化されたT細胞は、がん細胞を見つけるとアポトーシス(細胞の自殺)を促す信号を出すのですが、がん細胞はT細胞の活性をおさえて生きながらえます。

ちなみに、先日ノーベル賞で話題になったオプジーボというお薬は、がん細胞によって活性が抑制されたT細胞を再活性化するものです。まさに夢の新薬・・・といいたいところですが、良い話ばかりではありません。

放射線科医で医療ライターの松村むつみさんの記事によれば、「オプジーボは現時点での効果は生存率を数カ月延ばすということ、効果がない人も多いこと、さらに全てのがんに効果があるわけではない」とのことです。

私は、3年ほど前にこの薬のニュースを知ったときに、自己免疫疾患を懸念しました。つまり、免疫細胞ががん細胞のみならず正常細胞まで攻撃してしまうのではないかと。事実、自己免疫疾患と考えられている1型糖尿病や重症筋無力症といった重篤な副作用が報告されているそうです。

経済面でも問題です。だいぶ価格は下がってきたものの、依然として高額です。
とても生活困窮者が手を出せる代物ではありません。

免疫系を直接コントロールしようとする発想がひっかかります。
なんだか、いたちごっこになりそうな予感がします。
そもそもがんになった原因は免疫系の働きが不十分だったから、とも言えないでしょう。

ところで、がんはよくリンパ節に転移します。
免疫細胞であるリンパ球(T細胞やB細胞など)は、リンパ節で成長します。

何故、わざわざ免疫細胞がいるところに転移するのでしょうか?
免疫系を利用して転移しているとは考えられませんか?
ここにも、がんと免疫の関係性の複雑さが垣間見られます。

エピジェネティクス・・・細胞の周辺環境が細胞の性質を決める?

ミナ・ビッセル博士は乳がんの専門家。
インターネットで博士の講演動画「がんの新しい理解につながる実験」をぜひ視聴していただきたいのですが、がん細胞の周辺環境を整えることで正常細胞に戻りうることを示しています。
細胞の周辺環境が、細胞の核にあるがん遺伝子やがん抑制遺伝子のスイッチをオンにしたりオフにしていると考えられます。

ブルース・リプトン博士は、講演で以下の実験について述べています。

(前略)
幹細胞の実験は、次のような手順で行いました。まず1個の幹細胞を取り出し、組織培養皿に静置すると10時間後には2個に分割し、次の10時間にはさらに分割して4個に、そしてさらに8個にと順次分割していき、10日から2週間後には数千個の幹細胞が得られました。これらの細胞は1個の母細胞に由来しているので、すべて同じ遺伝子情報を持っています。

 次にこれらの細胞群の一部を別の培地を入れた新しい組織培養皿に移します。培養液は細胞の環境そのものであり、培地は人間にとっての空気、水、食料、環境、風土といったものに相当します。この培地に入れた幹細胞は、筋肉細胞になりました。

 2番目の培養皿に幹細胞群の一部を移し、異なった化学成分を含む別の培地を使用して培養したところ、この環境での幹細胞は骨細胞になりました。

 3番目の培養皿には、さらに異なる培地を加えて同じ幹細胞群の一部を培養すると、今度は脂肪細胞になりました。
(後略)

 

これはビッセル博士と同様に、細胞の周辺環境が細胞の性質を決めているということを示すものではないでしょうか?

よく、がん細胞は、活性酸素が遺伝子を損傷して正常細胞が突然変異したもの・・・ということが言われます。そうではなく、何かしらの要因で細胞周辺環境が悪化し、生きていきづらい環境の中でもなんとか生き永らえようとして、遺伝子の状態を変化させたものががん細胞だとは考えられませんか?そうであれば、突然変異というよりも、必然変異という方が適当なように思います。

ぜひ、ビッセル博士やリプトン博士の研究が、がんの臨床まで活かせるように進化して欲しいです。

体液循環をスムーズにするには?

◆まずは運動しよう!

言われるほどのことはありませんが、よく活動することです。
活動量の多さが微小循環を良好に保つことが分かってきています。

微小循環とは、毛細血管・毛細リンパ管・細胞と細胞の間の間質、それらと細胞との間で行われる酸素・栄養素・二酸化炭素・老廃物の循環のことです。

婦人科系でお悩みの方は、下腹部の微小循環が滞っている可能性が高いです。
そこで、股関節を大きく動かすことをお勧めします。
これにより、微小循環が改善され、不調から抜けやすい体質となるでしょう。
階段を1~2段飛ばして上がる、踏み台昇降をする、ボルダリングするなども良いでしょう。
ご自身でどんな方法があるか、調べるのではなく考えてくださいね。

◆特殊な呼吸法をする

横隔膜をダイナミックに動かす呼吸法を行います。

①息を吐きながら、下腹を強く引っ込ませる。徐々に腰が丸まる。
 横隔膜が上がる。

②吐ききったら肛門を締めて、10秒ほど息を止める。

③下腹を膨らませながら息を吸う。腰を徐々に伸ばす。
 横隔膜が下がる。

④半分くらい吸ったら、次は胸式で急速にめいっぱい吸う。
 横隔膜が上がる。肩がいきんだ状態になる。

⑤全て吸ったら息を止める。(10秒以上)
 肩と腹の力を抜き、下腹を膨らませる。

実のところ、文章でこの呼吸法を正しく伝えるのは困難です。みぞおちや下腹部に手を当てて、横隔膜がきちんと上下しているかどうかを確認する必要があります。生体自然療法士がこの呼吸法を指導しますので、そちらにかかるときに確認してもらうことになるでしょう。生体自然療法士についてはインターネットで検索してください。

とにかく、呼吸法としては横隔膜を大きく動かすことを意識すれば良いです。
この呼吸法により、細胞周辺の酸性老廃物の回収がスムーズに行えるようになるでしょう。

また、俗に言われる丹田呼吸法や肛門締めも含まれているので、その効果も期待できます。
氣の施術家によれば、肛門締めでは「会陰」と言う氣の流れで重要なツボも一緒に締まることで、氣の漏れを防げるそうです。肛門(会陰)の引き締めが悪いと、大切な氣の貯蔵が難しく、結果、体の氣が不足し自然治癒力が低下します。

肛門(会陰)を締める癖をつけましょう。
腹式呼吸と合わせて行うとより効果的です。

おわりに

体液には脳脊髄液もあります。
上記の呼吸法は胴体部の体液循環を促進するものであり、頭部には及びません。
過去の投稿で一人でできるプチ頭蓋仙骨調整を紹介したので、そちらを参考にして脳脊髄液についても対応してください。

これらを実践することで、細胞が生きていきやすい環境になり、自然治癒力を強力にサポートすることになります!