自力で健康を目指す天邪鬼

自力で健康を目指す天邪鬼

健康な生体は秩序化されたもの。部分でなく全体をみるホリスティックな視点で健康情報をお届けします。

自然療法的な慢性炎症の対策

3年ほど前になりますが、テレビでセンテナリアンの番組が放映されていました。
この番組は、センテナリアン(百寿者、100歳以上の人)の調査から浮かび上がってきた「慢性炎症」を取り上げ、次の3つの構成で、それぞれの関連性を述べているものでした。
 
 ・食べ物と慢性炎症
 ・身体活動と慢性炎症
 ・心理状態と慢性炎症
 
内容について疑問に思うところもありましたが、示唆に富んでいました。

一方で、別の放送ですが
 ・マインドフルネス(瞑想)
が慢性炎症を抑えるというものもありました。

この記事では、生体自然療法の観点から慢性炎症を抑えることについて述べたいと思います。

慢性炎症ってなに?

★急性炎症
怪我をした時に腫れ上がるなど、病原菌から身を守るために一時的に起こる炎症。
 
★慢性炎症
加齢とともに進む細胞の老化や免疫応答の低下による非常に弱い炎症。全身に起きるが自覚症状がほとんどない。糖尿病・動脈硬化・肺疾患・心疾患などの重大な病気に慢性炎症が関わっていることが明確になっている。

免疫応答とは、「異物への攻撃命令→攻撃→停止命令→停止」という一連の流れです。免疫応答が低下するとは、停止命令が下っても正常に伝達されないとか兵士が命令に従わないなどで、異物と正常細胞の見境無く攻撃が続くことでしょう。

慢性炎症と健康に関する二つの調査

番組では次の調査結果が報じられていました。

★ 慶応大学で1500人の高齢者を最大10年間追跡調査
臓器の状態や代謝など、身体のどの機能が寿命の長さに関係しているかを分析した結果、唯一、寿命との明確な関わりが見られたのが「慢性炎症」だった。

様々な老化に関係する因子の中で、慢性炎症が特に健康寿命の阻害要因として重要だった。センテナリアンは、一般高齢者に比べ、炎症レベル(CRP)が非常に低いことがわかった。
 
デンマークでの10万組の双子の寿命の追跡調査
同じ遺伝子を持っているにもかかわらず寿命には大きな差があり、寿命を決めるのは、
 遺伝要因が約25%
 環境要因が約75%
であることが明らかになった。

遺伝子だけで運命が決まるわけではない、誰もが健康長寿を実現できる可能性があるということです。

慢性炎症との関わりがイマイチ不明瞭ですが、慢性炎症を抑える生活を送れば、遺伝の影響をおさえて健康的な生活が送れる、ということを言いたかったのでしょう。

食べ物と慢性炎症

放送で述べられていたことの重要ポイントは
健康的な食事というものは、地域によって異なるということです!

地中海食は地中海で生活する人にとっては健康食かもしれないが他の地域に住む人にとっては必ずしもそうではないってことです。

ロンドンに住む人に地中海食を与えてCRPの調査をしたところ、特段の低減効果は無かったことが報じられていました。

 ・栄養素で健康が決まるわけではない
 ・体細胞は生活環境などに応じた個人差がある

ということは、健康のことだけを考えれば外国産の食べ物は不要だといえます。

現代は流通が発達したので容易に世界中の食べ物が手に入りますが、たったの200年ほど前までは、地元でとれるものしか食していなかったわけです。

それまでは、歩行できる範囲でとれる食べ物だけを摂ってきました。我々の体は、そのような食材を効率よく消化出来るようになっていると考えるのが自然です。

運動(身体活動)と慢性炎症

放送で特に私が着目したのが、岩山を上り下りすることが日常生活の一部になっている地域の人の長寿率が高いということについてでした。

番組では、岩山の上り下りを、単純に負荷の強い運動とみなし、それが重要みたいなニュアンスで報じていました。しかし、マラソンや重量挙げなどやってれば良いというわけでもないでしょう。

私は負荷の強さと言うよりも、股関節を大きく動かす動作が、下腹部の微小循環を良くするそれが長寿に結びついていると考えています。

微小循環とは、全身に張り巡らされた毛細血管の中で起きている目に見えないレベルの細かな血流のことです。微小循環をよくすれば、酸性老廃物の回収がスムーズに行えます。体液循環を促進し、局所的な酸性老廃物の充満を除去することは、健康維持の肝です。

股関節を大きく動かす運動・・・いろいろ考えられます。ぱっと思いつくのは、ロッククライミングボルダリングです。

都市部ではボルダリングの施設があると思うので、そこで遊ぶのも良いと思います。また、階段を1~2段飛ばして上がったり、自宅内では膝を高く上げる水平足踏み運動なども簡単なのでお勧めします。

心理状態と慢性炎症

満足感と炎症との関わりを示す遺伝子(CTRA遺伝子群)が発見されたとのこと。快楽型の満足感は炎症を促進し、生きがい型の満足感は炎症を抑えるということでした。言い換えれば、利己的な活動よりも、利他的な活動が炎症を抑えるということになるでしょう。

メディアによく出る武田邦彦氏は、ライオンのボス争いに負けた雄は、十分な体力がありながらも早死にすると述べていました。集団に貢献できなくなり、生きる価値がないということを遺伝子レベルで悟った結果ということです。ボスライオンは集団を維持することが生きがいなのでしょう。

これまでの医療・栄養学・健康法というものは、すべて個体を対象として問題にしてきました。しかし、多くの方は他人から感謝されることに大きな喜びを感じるのではないでしょうか。つまり集団の幸福を求めることが、慢性炎症を低減するのでしょう。

もしかしたら、自分の健康を保つ・長寿になるためには、自分の健康に注意するよりも、社会に貢献することに重点を置くという健康法があるかもしれません。

瞑想と慢性炎症

瞑想は科学的な研究の対象となっていることをご存じでしょうか? 瞑想が、慢性炎症に関与する遺伝子のスイッチオンを抑えることが分かったそうです。「RIPK遺伝子」などで検索すればその情報を得られますが、ここでは省きます。

つまり、瞑想は慢性炎症を抑えるのです。

瞑想は、正式には結跏趺坐(けっかふざ)という座り方でやるようです。しかし健康目的の瞑想は、スタイルにこだわる必要はありません。独特のあぐらをかいたような座り方で、手は親指と人差し指で輪っかを作って・・・なんてことは不要です。極端かもしれませんが、横になってもOKです。

集中することです。もし瞑想中に眠くなれば、集中できていないです。一般によく紹介される方法は、呼吸に意識を向けるというモノです。まずはその方法で数分間だけでもやってみてください。ちなみに私は、皮膚の一部(どこでも良い)に意識を向けたりします。そしてメトロノームを使います。集中できればどんな方法でも良いです。