自力で健康を目指す天邪鬼

自力で健康を目指す天邪鬼

健康な生体は秩序化されたもの。部分でなく全体をみるホリスティックな視点で健康情報をお届けします。

暗誦(あんしょう)のすゝめ・・・ボケ防止のため、そして、より良い人生を送るために

久しぶりに暗誦のトレーニングを再開しました。
手始めに、土井晩翠(どいばんすい)の「星落秋風五丈原(ほしおつしゅうふうごじょうげん)」にチャレンジしていますす。土井晩翠は明治時代の詩人です。

この詩は、三国志で有名な諸葛亮孔明が、晩年に北伐で出征し、司馬懿の率いる魏軍と五丈原で対峙していたときの様子を詠んだもので、とても哀愁漂うというか、悲しい感じのするものとなっています。
若い頃から三国志を貪り読んでいたので、その情景が手に取るようにわかります。

さて、詩の内容はともかく、暗誦を再開した理由は、私もアラフィフでボケが始まってもおかしくない年齢になってきたことがあります。認知症のほとんどの原因であるアルツハイマー病と脳血管障害は、40代から静かに進行しているそうです。だから私にとっていま始めることは、タイムリーなのです。

暗誦の目的・効能

北岡俊明さんは「暗唱術」の中で、概ね次のようなことを述べています。

・脳が活性化し記憶力が増進する。
・著者の思想・哲学を学習することができる。
・言葉の表現力、スピーチ力が高まる。
・論理的思考力が高まる。
・英語の暗誦により英語力が高まる。
・暗誦ウォーキングで肉体も健康になる。

毎日続けていると、なんだか、やる気が湧いてきます。
ボケ防止だけでなく、人生を送る上で非常に役立つ効能を享受することができると思います。

暗誦の方法

日々の生活の中で、何かをやってはいるけどあまり細かな思考を巡らしていない時ってありますよね。そういう時に並行して記憶定着のトレーニングをするのです。単純に覚えることだけを実行するのは苦痛です。結局三日坊主で終わってしまいます。

場所は・・・もちろんどこでも良いです。私の場合は、歩きながら諳んじたり、入浴しながら諳んじることが多いです。特にウォーキング暗誦は、記憶定着の効果が高いように感じています。ただし、車の運転中は気が散って危険なので控えた方が良いでしょう。

楽しんで暗誦をトレーニングするためには、本をまるごと暗記するのではなく、自分で覚えておきたいと思うフレーズ・節・章だけにします。だらだらと全て覚えるのは楽しくなく苦痛にしかなりません。

暗誦したいフレーズを印刷して、クリアファイルなどに入れます。これで多少の雨が降ってもシワになりません。

まずは以下を印刷して、私と一緒に星落秋風五丈原の詩を覚えてみませんか?
三国志が好きな人は、その情景をより深く感じることができると思いますよ。

星落秋風五丈原

祁山(きざん)悲秋の風更けて
陣雲暗し五丈原
零露(れいろ)の文(あや)は繁くして
草枯れ馬は肥ゆれども
蜀軍の旗光なく
鼓角の音も今しづか
丞相病あつかりき

清渭(せいい)の流れ水やせて
むせぶ非常の秋の声
夜は関山の風泣いて
暗に迷うかかりがねは
令風霜(れいふうそう)の威もすごく
守る諸営(とりで)の垣の外
丞相病あつかりき

帳中(ちょうちゅう)眠(ねむり)かすかにて
短檠(たんけい)光薄ければ
ここにも見ゆる秋の色
銀甲堅くよろへども
見よや侍衛の面かげに
無限の愁(うれ)ひ溢るるを
丞相病あつかりき

風塵(ふうじん)遠し三尺の
剣(つるぎ)は光曇らねど
秋に傷めば松柏(しょうはく)の
色もおのづとうつろふを
漢騎十万今さらに
見るや故郷の夢いかに
丞相病あつかりき

夢寐(むび)に忘れぬ君王の
いまはの御こと畏(かしこ)みて
心を焦がし身をつくす
暴露のつとめ幾とせか
今落葉の雨の音
大樹ひとたび倒れなば
漢室の運はたいかに
丞相病あつかりき

四海の波瀾(はらん)収まらで
民は苦しみ天は泣き
いつかは見なん太平の
心のどけき春の夢
群雄立ちてことごとく
中原鹿を争うも
誰か王者の師を学ぶ
丞相病あつかりき

末は黄河の水濁る
三代の源(げん)遠くして
伊周の跡は今いつこ
道は衰え文弊(やぶ)れ
管仲去りて九百年
楽毅滅びて四百年
誰か王者の治を思ふ
丞相病あつかりき

嗚呼五丈原秋の夜半
あらしは叫び露は泣き
銀漢清く星高く
神秘の色につつまれて
天地微(かす)かに光るとき
無量の思(おもひ)もたらして
「無限の淵(ふち)」に立てる見よ
功名いづれ夢のあと
消えざるものはただ誠
心を尽くし身を致し
成否を天に委ねては
魂遠く離れゆく

高き尊きたぐひなき
「悲運」を君よ天に謝せ
青史に照らし見るところ
管仲楽毅たそや彼れ
伊呂の伯仲眺むれば
「万古の霄(そら)の一羽毛」
千仞(せんじん)翔(か)くる鳳の影
草慮にありて竜と伏し
四海に出でて竜と飛ぶ
千載の末今も尚
名はかんばしき諸葛亮

おわりに

私は以前は般若心経や、宮沢賢治の「雨ニモマケズ
諸葛亮孔明の「出師の表」を諳んじることができたのですが
サボってしまい忘れました。もう一度がんばってみようと思います。

感銘を受けた詩や、自分がこうありたいと思う訓示などを覚えて
諳んじることができれば、きっと人生にも役立つと思います。
レッツ・トライ!!